患者の中には体を検査しても特に異常が見つからず、一方で長期間体調が悪いといった原因不明の症状に苦しんでいる人もいるのが実態です。体調不良により朝起きられずに仕事に行けないなど、日常生活に支障をきたす場合もあります。こうした西洋医学では判断できない症状に対しての治療を得意とするのが、漢方を使った東洋医学です。不定愁訴を訴える患者が増えつつあることから、大学病院にも漢方外来が設置されるようになってきました。

漢方外来の医師は患者の状態を把握するため、30分ほどの時間をかけて診察します。診察方法は視覚から患者を診る望診、聴覚と嗅覚から診察する聞診、質問で状態を判断する問診、実際に患者の体に触れる切診です。望診では体格や顔色、皮膚を観察、舌診では舌の形や色、苔の付き方まで診断します。切診では脈、腹診ではお腹に触れて確認し、聞診では返答内容とそのスピード、声のトーンを観察するのです。息のにおいも、患者の体調を診断するための大切な要素となります。

漢方外来の看護師に求められるものは、患者が診察内容を理解し、安心して診療を受けられるようにサポートすることです。患者へ事前に診察について説明したり、医師が診察しやすいよう介助したり、漢方の効果や正しい服薬方法を説明したりする役割を担います。即効性のある治療薬と違い、漢方薬は長い時間をかけて体質改善により治療していくものです。3年以上通院する患者も多く、患者と医師をつなぐコミュニケーションスキルが強く求められます。